音久和キャンプ場(1)

音久和のスモークチキン

 

冬のキャンプで虫に出会うことはなかった。

たぶん冬でも元気な虫はいるだろうから、何処かしらで会っていたと思うが記憶にはない。

ま、雪の上をカブトムシがひょこひょこ歩いていたら、いくら健忘症ぎみの自分でも覚えていると思うが(笑)。

 

記憶って印象なんだね。虫が至る所にいて当たり前の夏でも、かえって当たり前過ぎて記憶に残らないのかも。

 

そんな虫たちにあって、遠い記憶を呼び覚まされたなつかしい虫に出会った。

 

夕闇の川辺でランタンを灯し始めると、闇が濃くなるにつれ、いろんな虫たちがやってくる。

ヘッドランプを点けると顔に向かってものすごい勢いで蛾が飛んできたりする。

 

夕餉の支度をしてひと息。ひとりでのんびりとお酒を飲む。

ふと目の前のランタンに目をやると、ランタンの縁に、黄色い灯りに染まった細くて小さな虫が1匹とまっていた。

さかさまにぶら下がったままピクリとも動かない。

きれいな虫だ。

あ、これはカゲロウじゃないか。カゲロウの亜成虫メイフライだ。6月なのにメイフライ(笑)。

 

むかし若かりし頃、センスもないのにフライフィッシングに凝ったことがあった。

フライではカゲロウのことをメイフライと言った。

 

道具だけはひと通りそろえて、すでに釣りをした気分になっていたあの頃。

カゲロウがメイフライになって当時のなつかしい思い出を連れてきた。

道具だけをそろえてその気になるクセは、おじさんになった今でも変わらない(汗)。

 

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